チームでの制作は自分の成長にもつながる

少人数でのものづくりに関するお話です。

ここ数年でパソコンのツールが一気に高性能になったことで、誰でも気軽にものづくりを始めることができるようになりました。

それに伴って、個人でゲームを作る人もどんどん増えていっています。ぼくはゲームが好きなサウンドクリエイターなので、小規模でゲーム開発をしている人たちのチームに混ぜてもらい、ゲームのBGM ・ SEを作る機会を増やしてきました。

そのような経験を通して、今回はゲーム制作に関わることで感じたチームで制作することのメリットを書いていきます。

制限されることにはメリットもある

自分の作りたいものは決まっていて、他の人の介入を受けたくない場合もあるでしょう。個人でゲームを制作される方の中にも、プログラミング・グラフィック・サウンドなどを1人で全てこなす人がいて驚かされます。

確かに、今までのチーム制作の中で、他の人の要望に答えるため自分の作りたいものではないものを作ることもありました。

そのことに対しては少し不満を感じることもありますが、悪いことばかりではありません。むしろ、メリットがたくさんあります。

異なる考え方に触れることができる

様々な考え方

創作への向き合い方は人それぞれです。

自分が創作することに使命感を持っている人もいれば、ただただ好きなことをやり続けている人もいます。好きで長年やり続けた結果、もはや創作することが息をする事と同じくらい当たり前になった人もいるでしょう。

また創作するゲームに関しても、より多くの人にプレイしてもらうことを意識したカジュアルなものから、本当にゲームが好きな人向けに作られたマニアックなものまで多種多様です。

そして、ある人は「言葉で伝えられること」を大切にしているし、別な人は「言葉を使わずに伝えること」にこだわっている。

作品を通して伝わってくる作者の想いを感じることは、とても楽しいです。

要望に応えることで成長する

自分が自信を持って制作した曲も、チームメンバーからは「ちょっと違う」と言われることがあります。

その経験を通して学べるのは、自分が良かれと思って作ったものも別な人から見たら重要ではない場合があるということ。

好きな音楽・求める音楽は人それぞれなのは当たり前の事なのですが、自分の中だけで作曲しているとそのことを忘れてしまいがちです。

作った曲に対して「もっとこうして欲しい」という要望をもらうことで、音楽を使う側の気持ちに触れることができ、自己満足だけで進む作曲になってしまうことを止めてくれます。

1人では踏み込むことのなかった領域へ

よりよいゲームサウンドを作るためには、自分が持っている表現方法だけでなく、そのゲームの特徴を引き出せるような表現方法もあわせて使っていく必要があります。

新しいゲーム制作に関わるたびに、学ばなければいけないことが生まれるのです。

普段とは全く別なジャンルの作曲

自分の経験を例に挙げると、普段オーケストラを中心に作曲をしていたぼくですが、ゲームボーイ(昔の携帯ゲーム機)風のゲームに対して作曲をするという機会もありました。

そのゲームにオーケストラ曲を書くわけにはいかないので、ゲームボーイ風のBGMを作るにはどうすれば良いかを調べるところから始めました。

ゲームボーイでは音が同時に最大4つまでしか鳴らないし、使える音色もかなり限られています。何十種類ものパートが同時に演奏して壮大なハーモニーを生むオーケストラとは真逆のような存在だと感じました。

もしこのゲームの作曲に参加しなかったら、ゲームボーイの音楽についてちゃんと調べる事はなかったでしょう。もともと自分の興味になかった分野に触れられることも、チーム制作のメリットです。

責任感が生まれる

1人で創作する場合では、一応作品を完成させる締め切りを決めたとしても、それを破ったときの罰がないため、いくらでも締め切りを延ばすことができてしまいます。

一方、チーム制作での締め切りは守らないと他人に迷惑がかかり、信用を落としてしまいます。そして、創作する人たちの界隈で「締め切りが守れない人」というイメージが広まってしまうと、チーム制作に参加できる機会が少なくなってしまうかもしれません。

作品を完成させないことにリスクがあることで、作品を完成させることへの意識が高まります。

チーム制作は成長につながる

以上のように、チーム制作することで他のチームメンバーの考え方や制作物から様々なことを学べます。

人と一緒に何かを成し遂げていく過程では、意見がぶつかり合いストレスになってしまうこともあります。でもそのストレスが後の成長につながっていくと分かっていれば、そのようなトラブルも乗り越えて行くことができるのではないでしょうか。