ゲームには、ボス戦やストーリーのムービーのような山場の場面もあれば、探索やメニュー画面のような穏やかな場面もあります。もし山場ばかりが続いてしまったら、プレイヤーは疲れてしまいますよね。
ゲームのBGMも同じで、緩急がとても大切です。カッコいい曲や感動的な曲は、プレイヤーの心を揺さぶる大事な要素ですが、そればかりだと聴き疲れを起こしてしまうこともあります。
そこで今回は、そんな「ドラマチックではないBGM」を作る方法についてお話しします。
1. 「山場ではない」場面の例
「山場ではない」場面は、特にプレイヤーがドキドキする必要のない穏やかなシーンのこと。RPGゲームを例にとると:
- 探索中:フィールドやダンジョンを歩き回るとき。その場所の雰囲気に合わせてBGMの曲調は様々に変化しますが、特に序盤はそれほど山場ではありません。
- 拠点や町での休息:NPCと話したり、アイテムを補充したりする場面。基本的に敵と遭遇することがない安全な場所なので、山場ではありません。
- コミカルなイベントシーン:ゲームのイベントにも様々な展開がありますが、本筋のストーリーから少し外れたようなコミカルなシーンは、山場ではないと言えそうです。
などが挙げられます。
これらのシーンでは、BGMの盛り上がりを抑え、プレイヤーがのんびりできるように促すのがポイント。
2. ドラマチックにしないためのポイント
派手すぎないBGMを作るために意識したい、簡単なコツを2つご紹介します。
シンプルなコード進行
有名なコード進行として、「カノン進行」や「4536進行」などがあります。これらの進行はとてもドラマチックでメッセージ性が強く、非常に多くの曲に取り入れられています。
一方で、ゲームの背景に徹したいBGMに使うと、少し目立ちすぎてしまう可能性があります。
目立ちすぎる原因は、それらの進行に含まれる緊張と緩和の効果が大きすぎるということが挙げられます。
ここでは、その詳細な話は省いて、具体的により穏やかなコード進行にはどんなものがあるかを見ていきます。
一番簡単なのは、2つのコードをひたすらくり返したコード進行を用いることです。
C6 – FM7 のくり返し
複雑な転調や展開は避けて、落ち着いたループ感を重視。起伏の少ない安定したコード進行が、プレイヤーの集中を邪魔しません。
また、CやFといったトライアドはとても明るい響きなので、あえてC6やFM7を採用することで、音がほどよくぼやけ、優しい響きになります。
C – Cdim7 のくり返し
次に、ちょっとお茶目なシーンを想定したフレーズ。
Cdim7という、不穏な響きのするコードを取り入れてみました。
いかがでしょう。ちょっとコミカルで、のほほんとした雰囲気を感じられたのではないでしょうか?
Cdim7はきれいな音楽やシリアスな音楽にも使えますが、それとは真逆の雰囲気の曲でも力を発揮します。
2つのコードくり返しのメリット・デメリット
仮に、ドラマチックな雰囲気を作りたい場合、2つのコードだけで作るのは至難の業です。逆に、ちょっとした感情や雰囲気を作るのには2つのコードをくり返すのが効果的で、とてもお手軽な方法といえます。
控えめなメロディ
ドラマチックでないコード進行の次は、メロディも過度なドラマチックさを避けて作ってみます。
まずは、ゆったりとしたバージョン。長い音と短い音を織り交ぜて作ってみました。
次に、細かい音をちりばめたバージョン。はっきりとしたメロディラインが見えにくく、目立たせたくないBGMにはもってこいです。
ちなみに、ドラマチックなメロディも考えてみたのですが、コード進行があまりにも穏やかなため、どうしてもドラマチックにならず…断念しました。
それだけ、コード進行とリズムの影響は大きいのですね。
まとめ
控えめなBGMを作る方法として、主にコード進行の考え方について紹介してみました。
2つのコードだけで作る方法はとてもシンプルですが、表現できる音楽の幅は想像以上に広いです。ぜひ、いろいろなコードを試してみてください!