はじめに
今年もクリスマスの季節がやってきました。街やお店ではクリスマスソングのアレンジが流れ出す時期です。
今回は、冬っぽい曲のメイキングと、制作する上でのポイントをまとめてみました。
オーケストラ曲制作の一連の流れをざっと解説しているので、
- オーケストラ曲を作ってみたいけど、どんな手順で作ったらよいか分からない
- オーケストラ曲がどのように書かれるのか知りたい
という人におすすめです。
制作した曲
「もみの木の周りで鬼ごっこ」
雪の降る中、子どもたちが元気に遊びまわっている様子をイメージして作曲しました。
メイキング
曲制作の手順は人によっても違いますし、曲のジャンルによっても違います。
今回は、まず「ピアノスケッチ」作り、後から肉付けをしていく方法で作曲しました。
ピアノスケッチについて
オーケストラは楽器の数がとても多い音楽です。
それらの楽器の音符を端から一つ一つ打ち込んでいくと、曲全体のバランスをとるのが難しくなってしまいます。
そこで今回は、まず曲全体を1つ音色(ピアノ)で作ってしまい、それから各楽器に音符を振り分けていく方法で作曲してみました。
ピアノの音で曲の全体像を書き出したものを、ピアノスケッチと呼びます。オーケストラに限らず、あらゆるジャンルの作曲においてピアノスケッチは便利なので、ぜひ取り入れてみてください。
メロディを作る
最初の一歩
まずは曲のイメージを浮かべます。その後、「楽し気な曲にしたいので、メロディは軽快にしよう」などと方向性も考えつつ、思いつくままに音を並べてみます。
4小節のメロディができました。今回は、このメロディをAメロと呼んでいきます。
Aメロには、軽快さを出す要素を含めました。
- 16分音符の半音進行
- フレーズの始まりの8分休符
基本的には、短い音は軽快な印象を与えます。Aメロには短い音をたくさん配置したので、小さいものがぴょこぴょこ動くような、子どもたちが遊んでいるイメージにぴったりのメロディになりました。
また、メロディを拍頭から始めるとしっかり安定した感じに、拍頭以外から始めると不安定で動きのある感じが出るので、Aメロは8分休符を挟んでからメロディが始まるようにしました。
さらに、2音間の高低差が大きい「跳躍進行」を多めに取り入れています。
この跳躍進行も、メロディの動きを出すことに一役買っています。
メロディを引き延ばす
先ほどの4小節のメロディを引き延ばして長さを稼ぎます。まずは4小節のメロディをそのままコピーしてつなげ、8小節にしてしまいます。同じメロディの繰り返しでは単調になってしまうので、後半を少し変化させ、次のBメロにつながりやすくしておきます。
Bメロ
Aメロが一通り完成したので、その次の展開を作ります。Aメロは音の上下が激しかったので、Bメロは雰囲気を変えて、流れるようなメロディにしてみました。
「ド→レ」や「ファ→ミ」のように、隣り合っている音に進行することを「順次進行」といいます。このBメロは、順次進行が多めに使われています。
順次進行は音同士の高低差が小さく、滑らかな印象を与えます。跳躍進行が多くて動きのあるAメロと雰囲気を変えることができました。
もう一度Aメロをつなげる
歌モノだと、Aメロ→Bメロ→サビという流れを作り、サビで大きく盛り上げる構成が一般的です。しかし、今回はBGM用途の曲なので、あまり大きな展開を作らない方向で行きたいと思います。
というわけで、今回はAメロ→Bメロという流れから、もう一度Aメロに戻ってみます。
ただし、全く同じAメロが現れたら単調になってしまうので、後半を修正して新たな「Cメロ」につなげてみます。
エンディングに向けて一直線のCメロ
クライマックスのCメロです。例のごとく、同じフレーズを2回繰り返して、後半だけ変えてエンディングに向かう構成にしました。
とりあえず、一通りメロディのイメージができました。制作を進めていくうちに気になる箇所が出てくると思いますが、その時に修正すれば大丈夫です。現段階では、ちょっとした気になる点は無視しています。
伴奏を作る
次に、メロディに対する伴奏を作っていきます。
まずはAメロ。ベースを4分音符で鳴らし、その間にコードを鳴らします。楽しくてぴょんぴょん跳ねてるような伴奏が出来上がりました。
ベースの動き
ベースの動きはにはかなり法則性を持たせています。基本的には、その場のコード進行のルート音を1・3拍目に、第5音を2・4拍目に置いています。
一か所だけ、コードの第3音が使われている場所があります。これは、前後の音とのつながりを良くするためです。
Bメロの伴奏
Bメロの伴奏もAメロとかなり似ていますが、ベースの動きだけ少し変えています。1小節ごとに山を作る感じです。
Aメロのベースは上・下・上・下…という風にジグザグに動いていましたが、Bメロのベースは1小節(4拍)ごとに流れを作って動いています。これにより、Aメロのベースより滑らかな印象を作ることができます。
2度目のAメロの伴奏
最初のAメロの伴奏とほぼ同じなので省略します。
Cメロの伴奏
Cメロの伴奏もAメロとかなり似ています。フレーズの終わりのみ、アクセントをつける意味でベースとコードの動きを変えたりしています。
ピアノスケッチの完成
ピアノスケッチが完成しました。 次回「冬らしくて、お茶目で楽しい曲を書いてみよう(後編)」 では、このスケッチを元にオーケストラ楽器の音符を配置し、曲を完成させます。現在執筆中なので、しばらくお待ちください。
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