ぼくがDTMをするときはいつも、好きなように打ち込んで作曲をするのですが、もっと効率の良い方法は無いかと考えていました。
そこで今回、普段とは違う手順で作曲をしてみたところ、なかなかのメリットを感じたので、その方法を解説していきます。
最初から打ち込む作曲法のデメリット
ぼくが普段作曲をする時は、まず最初にDAW(デジタル音楽を作るソフトのことです)を立ち上げ、手当たり次第に使いたい楽器を読み込み、思いついたイメージからどんどん打ち込む、という方法をとっています。
しかし、この方法には不便なことがいくつかあります。
打ち込み直しをする回数が多くなる
頭の中でぱっと思いついたイメージを打ち込んでいくと、思い通りの響きにならないことはよくあります。その場合、打ち込んだものを消してまた別な音を打ち込んでいきますが、それが行き当たりばったりになりがちです。
曲の構成がうまくいかない
好きなようにイメージを打ち込んでいった場合、改めて全体を聞き直してみると、最初と最後で雰囲気が全然違ってしまうことがあります。
また、4分ほどのそこそこの長さの曲を書く場合、意識して起伏を作らないと、平坦で、聴いてて面白くない音楽になってしまいます。
そこで考えた解決法
上記のように、思いついたイメージをとりあえず打ち込む作曲法ではうまくいかないことが多いのに気が付きました。
そこで、いきなり打ち込むのではなく、先に作曲の設計図を作ってからDAWに向かう、という方法を試してみました。
今回の記事では、実際に作った設計図の内容と、この方法を試してみて感じたメリット・デメリットを書いていきます。
※シンプルにするため「設計図」という言葉を使っていますが、実際は図よりも、文字で書いたことの方が多くなっています。
ちなみに、設計図を立ててから作った曲はこちらです。
どんな方法?
紙の上で作曲の計画を練る
紙とペンを用意し、作りたい曲のイメージを様々な方法で書き出していきます。ぼくは、iPad用アプリである、手書きでノートが書ける「GoodNotes」を使って設計図を書きました。
ここからは、実際にぼくが書いた設計図を掲載しつつ、その内容について説明していきます。
作りたいものをざっくり書き出す
作りたい曲のジャンル、テンポ、要素などを思いつくままに書き出します。
全体の構成を書き出す
全体の構成を書き出します。
どこで盛り上げてどこで落ち着かせるのか。コード進行も関わってくるところなので合わせて決めます。
もっと細かいイメージ
さらに、盛り込みたい要素を書き出します。
メロディーを書き出す
書き出したイメージに合うメロディーを実際に五線譜に書いていきます。五線譜での書き方がわからない場合は、書きたいメロディーの特徴を箇条書きにしていくのも良さそうです。
メロディーの特徴というのは、
- ゆったりした、一音一音が長い
- 大きい跳躍のある、ドラマチックな
- 短い音符を多用して、素早い感じに
など、メロディーの音数や動きの方向性が決まるような言葉で表現していくと良いでしょう。
このような感じでイメージを書き出していき、イメージを出し尽くしたと感じたら、実際に作曲ソフトで打ち込んでいきます。
それでは、実際にこの方法で作曲をしてみて感じたメリット・デメリットを書いていきます。
メリット
紙とペンさえあれば進めることができる
DTMで面倒な事といえば、パソコンやMIDIキーボードなどの機材がないと進められないことです。
でも、設計図作りで必要なのは紙とペンだけなので、いつでもどこでも作曲を進めることができます。
設計図さえ作っておけば、パソコンでの打ち込みの時間も減ります。
打ち込みのストレスが減る
思いついたイメージから打ち込む方法だと、打ち込みをし直す回数が増えがちです。
でも、設計図を作っておけば、後はその通りに打ち込んでいくだけなので、スイスイ進んで気持ちいい。
打ち込んでみた音がイメージと違う事はありますが、事前に曲の方向性を固めているので、修正も少ない回数で上手くいきやすくなります。
曲にまとまりが出る
「Aの部分で落とし、Bの部分で盛り上げる」など、どのように曲を魅せていくかをあらかじめ決めておくので、曲が1つの作品としてまとまりやすくなります。
デメリット
自分のイメージ力にクオリティが左右される
頭の中で音を鳴らし、それを書き出していくという作業なので、自分が頭の中で想像できない音は設計図に書けません。
よって、自分がDAWで打ち込んだことが無いような音を設計図に書き出すのは困難だと思います。
設計図に書ききれないことがある
こちらも自分のイメージ力に関する問題ですが、より細かいイメージは言葉や図にしにくいです。例えば、以下のようなものは実際に打ち込み始まってみないとわからないことが多かったです。
サブの音
ここで言うサブの音とは、メロディーでも伴奏でもない、曲を飾りつける音のことです。
サブの音は、実際に打ち込んだ曲を聴いて、どこに何が足りないかを把握してから付け加える音なので、設計図上では具体的に書くのがなかなか難しい要素です。
ミックス
楽器間の音のバランスだったり、鳴り方を調整するミックスも、実際に打ち込んだ曲を聴きながらでないとできません。設計図を書くことによってミックスの時間を減らす事は、今回は出来ませんでした。
しかし、ミックスに関する様々なチュートリアルで、あらかじめミックスのイメージを作っておくことの重要性が説明されているのをよく見かけます。
今回はそこまで頭が回っていなかったため、ミックスに関してほとんど設計をしないまま進めてしまいましたが、次回以降はミックスの設計もあらかじめ行ってみたいと思います。
これからも試していきます
設計図を作ることに慣れておけば、外出先でもどんどん作曲を進めることができます。
例えば、海を見ながらとか、旅館でリラックスしながら、など…
普段とは違うシチュエーションに身をおくと、作曲のインスピレーションが刺激されます。その時、そのインスピレーションをちゃんと書き留める方法を持っておけば、作曲の幅が広がること間違いなしです。
今回書いた設計図はまだまだごちゃごちゃして見にくいですが、これからもっと正確にわかりやすくイメージを書き留める方法を編み出していきます。
良い設計図の書き方が見つかったら、また共有しますね。